マカオのカジノ経営者であるローレンス・ホー氏のファミリーオフィス「ブラック・スペード・キャピタル」は、不動産分野への新たな進出として、香港を拠点とする不動産仲介会社IFCX社に対し、非公開のご投資を行われました。報道によりますと、本件は、ホー氏の中核事業であるカジノからの事業多角化を進めつつ、アジア地域の不動産および代替資産市場における影響力を拡大するという広範なご戦略の一環でございます。
IFCX社は、元モルガン・スタンレーのバンカーであるキングストン・ライ氏により2014年にご創業され、不動産、美術品、ワイン、その他の収集価値のある資産など、代替資産と機関投資家をお繋ぎすることを専門としておられます。また、同社はカンボジア、マレーシア、中東、タイ、イギリス、ベトナムといった地域において、開発業者様の代理も務めておられます。
さらに、アジアン・バンカーズ・クラブ、ナイツブリッジ・パートナーズ、イージー・プロといった各種プラットフォームを通じて、IFCX社は不動産の直接販売から管理業務、さらにはグローバルな居住権取得支援に至るまで、幅広いごサービスをご提供されております。
複数の報道によりますと、ブラック・スペード社との提携により、IFCX社はアジア全域における富裕層へのリーチをさらに拡大し、ホスピタリティおよびエンターテインメント業界のネットワークを活用することが可能になるとのことでございます。
また、同社は今後、予測分析や投資家向けエンゲージメント・プラットフォームなどを含む人工知能(AI)ツールを、自社サービスに統合していく計画を発表されております。
地理的および業種的な拡大にとどまらず、IFCX社は、純資産3,000万米ドル以上を保有する超富裕層の方々を対象とした新たな会員制クラブの立ち上げを準備しておられます。当クラブは完全招待制で、会員数は最大200名に限定され、選ばれた方々に対して、特別なネットワーキングおよび投資機会をご提供するものとなっております。
また、ブラック・スペード社によるご投資には、IFCX社の取締役会への参加も含まれており、同社の戦略的発展に対して積極的かつ実務的な関与を示しております。
現在、IFCX社は約80名の社内エージェントと2,000社以上の法人向けビジネスパートナーを有しており、顧客基盤は香港に大きく集中しております。同地域は、同社全体のビジネスの最大40%を占めている状況でございます。
メルコ・インターナショナル・ディベロップメントの会長兼CEOであり、故スタンレー・ホー氏(カジノ界の大物)のご子息でもあるローレンス・ホー氏は、マカオのカジノ業界外での新たなビジネス機会を積極的に模索しておられます。
今回のご投資は、ブラック・スペード社がこれまで関与してきた、ギャンブル以外の多様な分野への事業展開――たとえば電気自動車メーカーのVinFast Auto社や、メディア・エンターテインメント企業であるWorld Media and Entertainment Universal社など――に続くものとなります。
2023年には、ホー氏の特別目的買収会社(SPAC)がVinFast社との数十億ドル規模の合併を完了しており、さらに2021年に設立された前回のSPACでは、同ベトナム企業との間で230億米ドルに及ぶ取引を成立させておられます。
これら一連のご動向は、マカオにおけるギャンブル規制の強化に対する対応であると同時に、より広範な事業展開への意欲を示すものと見られております。なお、ホー氏は、タイでの統合型リゾート(IR)開発の可能性も視野に入れておられ、同国における法的枠組みの整備次第で本格的な進出をご検討される可能性もございます。
メルコ社は、アジアにおけるホスピタリティおよびゲーミング分野でのプレゼンスを維持・拡大するという広範な戦略の一環として、本年後半にスリランカでのカジノ開業を予定しておられます。