フィリピンの大富豪で元上院議員のマニー・ビリヤール氏は、マニラ首都圏南部で進める10億ドル規模のカジノプロジェクトを単独で推進する意向を示しました。Insider PHの報道によると、ビリヤール氏は当初、韓国のジャンケット業者Dowinn Groupとの提携を模索していましたが、最終的に交渉は決裂し、単独での開発を決定したとのことです。
ビリヤール氏の決断は、地上型カジノ業界が依然として苦境に直面している状況の中で下されたものです。ブルームベリー・リゾーツは最近、大幅な利益減少を報告しており、一方でメルコ・エンターテインメントは「シティ・オブ・ドリームス・マニラ」の売却を検討しています。こうした課題があるにもかかわらず、ビリヤール氏は業界の長期的な成長に自信を示しており、短期的な変動にとらわれない視点が必要だと強調しています。
昨年、フィリピンのゲーミング業界の総粗収益(GGR)は4,105億フィリピン・ペソ(72億米ドル)に達しました。これは、フィリピン娯楽・ゲーミング公社(PAGCOR)の会長兼CEOであるアレハンドロ・テンコ氏がパサイ市での記者会見で発表したものです。この数字は、マカオに次ぐアジア第2位の規模となりました。統合型リゾート(IR)が総収益の49%を占め、次いで電子ゲーム(38%)、海外向けゲーミング事業(9%)、PAGCOR直営カジノ(4%)の順となっています。
計画中のカジノは、ラスピニャス市にある改装済みの「Vista Mall Global South」内に設置される予定です。ビリヤール氏は、建物の構造がすでに完成しており、土地と建物がビリヤール・グループの所有であるため、追加コストを最小限に抑えられることを明らかにしました。このアプローチにより、財務リスクを軽減し、プロジェクトのスケジュールを加速させることができます。
本プロジェクトは、昨年発表されたビリヤール氏の総額10億米ドルの投資計画の一環となっています。カジノは2025年半ばの開業を予定しており、ビリヤール・グループが所有する「Brittany Hotel Global South」(旧Mella Hotel Manila)の近隣に位置します。この近接性により、統合型リゾートとしての開発がスムーズに進められることが期待されています。
ビリヤール氏は、このカジノを単なるゲーミング収益の源ではなく、マニラ首都圏南部の不動産価値を押し上げる起爆剤と位置付けています。本プロジェクトは、同氏が手掛ける3,500ヘクタール規模の複合開発「ビリヤール・シティ」と連携しており、複数の都市にまたがる広大な開発計画の一環となっています。
また、同氏はマニラ首都圏スカット地区においても、80ヘクタールの土地開発を進める計画を立てており、不動産事業全体の成長戦略の一環として、統合型リゾートと都市開発を融合させた事業拡大を目指しています。
ビリヤール氏は海外パートナーなしで計画を進める一方、カジノ運営を担う経験豊富な専門家チームの編成を進めていると述べました。さらに、専任のゼネラルマネージャーを採用する計画も明らかにしています。