韓国の男性が、北朝鮮のハッカーの支援を受けて一連の違法オンラインギャンブルサイトを運営していたとして起訴されました。韓国のメディア「コリア・ジョンアン・デイリー」によると、ソウル中央地検はこの男性(金容疑者)に対し、国家保安法違反、不法ギャンブル運営、犯罪収益の隠匿などの容疑で起訴したと発表しました。
報道によると、金容疑者は2022年から2024年にかけて、北朝鮮の軍需工業部傘下の「313局」に所属するハッカーと直接連携していたことが捜査で判明しました。これらのハッカーは主に中国で活動しており、金容疑者が16のギャンブルサイトを立ち上げ、運営するのを支援しました。これらのサイトは後に韓国内の事業者に売却されました。ハッカーたちは技術的な支援だけでなく、自動化されたマーケティングツールを提供し、オンラインでの集客促進にも協力していたとされています。
韓国当局によると、金容疑者は2023年後半の2か月間にわたり、暗号化されたメッセージアプリを通じて北朝鮮のハッカー2人と連絡を取り合い、1,100通以上のメッセージをやり取りしていたことが判明しました。
この協力関係を通じて、金容疑者はギャンブルクレジットを購入する利用者からの維持費や手数料を徴収することで利益を上げており、2021年3月から2024年8月までに得た総収益は約235億ウォン(約1,720万ドル)にのぼります。
捜査当局は、このうち少なくとも70億ウォン(約500万ドル)が北朝鮮の関係者に送金されたことを突き止めており、これが国家安全保障上の重大な問題として捉えられています。
金容疑者は、自身の違法ギャンブル事業の拡大と摘発回避のために中国へ移住したとみられています。
韓国国家情報院(NIS)が2023年初頭に入手した情報によれば、中国に居住する韓国人が、韓国内のユーザーを対象とした違法ギャンブルサービスの流通に関与しているとの報告がありました。
その後、金容疑者は2023年11月に韓国へ再入国した際に逮捕され、2024年5月7日付で正式に拘束されました。
当局は、金容疑者が北朝鮮のハッカー組織と連携しながら違法収益を北に送金していた点を重く見ており、国家安全保障の観点からも厳しく対処する方針です。
北朝鮮の「313局」は、中国の丹東などに拠点を持つフロント企業と関連があるとされており、同国のIT戦略において中核的な役割を果たしています。この戦略には、熟練した技術者を海外に派遣し、違法事業(例:ギャンブルサイト)向けのデジタルツールを開発・提供することが含まれており、それによって得られた収益は平壌の体制維持に還元されていると見られています。
韓国の検察当局は、今回の違法運営に関与したより広範なネットワークの全容解明と、北朝鮮へのさらなる資金の流れを捜査し続けています。韓国政府は、国家安全保障への脅威と直結するオンラインギャンブルおよびサイバー犯罪との戦いに引き続き取り組む姿勢を改めて強調しています。