タイの観光業界は、政府がカジノ合法化を急速に進めていることに対して警戒感を示しています。彼らは、この動きが国民の不満を招き、繊細な観光産業の回復を危うくすると懸念しています。
タイホテル協会の会長ティエンプラシット・チャイヤパトラヌン氏は、法案の急速な進行に懸念を表明しました。彼は、観光業界はパンデミック後の経済回復を支援することに尽力しているものの、十分な関与なく急ぎすぎると反対意見が生まれるリスクがあると強調しています。
「明確な法案の草案と広範な国民の支持なしには、民間セクターは全面的な支持を表明できない」とチャイヤパトラヌン氏は述べました。
議論の中心となっているのは、「エンターテインメント複合施設法案」であり、これによりカジノがエンターテインメントゾーンの一部として合法化される見込みです。政府はこれが収入増加と外国投資家の誘致につながると主張していますが、批判派は深刻な社会問題を引き起こし、政治的緊張を高める恐れがあると警告しています。
国民投票実施の声が高まる
政府が国民投票を認めない姿勢を示したことで、反発はさらに強まっています。多くの人々は、これほど重要な決定には国民の意見が必要だと考えています。すでに5万3千人を超える署名が集まり、法案に関する国民投票の実施を求める請願書が提出されています。
さらに、タイ旅行代理店協会は政治の不安定さが信頼感を損ねている重要な要因であると指摘しています。観光大臣の頻繁な交代により、長期的な戦略の策定が不可能になっていると言います。
「指導者が頻繁に変わるため、観光政策を安定的に構築することは不可能だ」と関係者は語りました。タイは現在、政治的緊張が高まっており、特にタイミングが敏感です。下院の早期解散の可能性についての憶測も広がっています。
政治的緊張が高まる
ビュムジャタイ党は最近、首相ペートンターン・シナワトラ（掲載画像）とカンボジアの元指導者フン・センとの電話会話が漏洩したことを受けて、与党連立から離脱しました。録音の中で、ペートンターン氏はタイ軍のカンボジアとの最近の国境衝突への対応を批判しており、これが外交問題にさらに火をつけています。
この法案を支持する人々は、合法化されたカジノが富裕層観光客を呼び込み、経済の多様化を促し、違法ギャンブルを取り締まる効果があると考えています。しかし反対派は、ギャンブル依存症や組織犯罪の増加、そしてタイが家族向け観光地として築いてきたイメージの損なわれることを懸念しています。
政治的不安定さが増し、世論の反対が強まる中、多くの人々が政府に対し、一時停止を求めています。急いで進めることは、タイの社会的基盤や苦境にある観光産業に深刻な影響を及ぼす可能性があると警告しています。
